as if
ウデラコウ

フライングで駆け出したあの 太陽を
追いかけてみようかと 君は言った


暗闇の中



何も見えないのに 走れるわけないじゃないかと
嘲笑って僕は

その場に座り込む



そんな僕の前に立って

何をバカなことを。と
君は 

いつものように ケラケラと笑って


君は。
見えないんじゃない 見ようとしてないだけだ





あまりにも簡単に核心をついてみせた


進むのが怖いのかい 守るものが怖いのかい

弱い風が 僕の横を通り過ぎる時に
静かにそう 囁く


図星をつかれた僕は

大層顔を赤くして



違う!


と大きく叫んで 立ち上がる



僕だって 走れるさ
何も見えなくたって 足は動く
ただ もし…



大きな声でまくしたてたと思ったら直ぐに僕の声は小さくしぼんでしまうから



君は少し驚いた後 また さもおかしそうに笑い転げて


じゃあ 君が 望む速さで 走ればいいじゃないか




一言 さらりと言ってのけて

僕の手を掴むんだ



転ぶのが怖いんだろう 痛いのがイヤなんだろう

それは誰だって同じさ

君だけじゃない


でも転ばないように 痛くないように

逃げていては 決して朝日には追いつけないよ



指先から伝わる熱が 僕にそう告げる



そして僕は その熱に誘われるように あの太陽が飛んでいった先を見つめた


その先は 光さへ見えなかったけれど

何かが僕を 呼んでいるような気がして

どうにもこうにも 走り出したくなってしまうんだ




あぁ 君の言葉に 騙されて あと少しだけ走ってみようか



そうすれば あの太陽の光が届くとこまで いけるかな



暗闇を抜けて


青空が広がる 朝へ たどり着けることができるかな



君が掴んだ手に 少しだけ 力を込める



君がもう一度 僕の手を 握り返したら




それを合図に 走り出そう






自由詩 as if Copyright ウデラコウ 2007-01-01 20:44:42
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