位置についている
霜天

位置についている
足跡を構えている
辿る順路は地図の上に滞りなく
手を繋いだ人を添えて迷い込んでいる

踵から踏み込む、街
命の位置について、いる
まだ、僕らが素材だった頃
教科書の奥で間違うことに気付いては
呼吸を読まれないように、深く沈んだ帽子の影で
心音を心音と認めずに
ただ、ガードレールの曲線に沿って
目隠し鬼は呼ばれるほうへ
深く、深く歩いていった


誰かを呼ぶ声が聞こえる
風切る音、が聞こえる
金切り声、が聞こえる
線につく
道が、開けている


初めての夢に見たのは
とても好きだった人、の瞳
確かなことなのに、名前が溶けている
不確かな夢を混ぜ合わせると
輪郭が薄れて
いつか、ひとつになれる

位置についている
命の浮き沈む線の上にいる
遠く呼ぶ声を確かに聞けば
今も見ている
徒桜


自由詩 位置についている Copyright 霜天 2007-01-01 01:33:44
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