就職支援センターのこと
吉田ぐんじょう

就職支援センター
と云うところに
毎月行っている
無職だからである

就職支援センターは
仕事を紹介してくれる訳ではない
担当の人と
色々お話をして
最後ににこにこと
頑張ってくださいね
と言われるだけのところである

仕組みとしては
キャバクラに似ている
と思うがどうだろう

そんなでも結構
人は沢山来るらしい
多分
税金で運営されているからだろう

こないだ何時ものように
担当の人に
自分なんかもう駄目すよ
みどりむし以下っすよ
と独白していたら
隣のブースにいた若者が
自分
泥棒になりたいんすよ
と言っているのが聞こえた


と思って聞き耳を立てると
その若者はひきこもりで
ねずみ小僧の大ファンだと言う

義賊と云うか
そうゆうのに憧れるんすよね
まじそれって
かっこいいじゃないですか
だから自分
泥棒になりたくて

口調が似ていた為か
だんだん
喋っているのが
若者なのかわたしなのか
判然としなくなってきた

夜空に飛び上がり
盗んだ宝石をばらまくわたしは
それなりにさまになっているような
そんな気がしてきた

もしかして
わたしは泥棒になるべきだろうか

そのとき
担当の人がにこにこと
頑張ってくださいね
と言ったので我に返った

ありがとうございますと
席を立つ

ちらりと隣を覗いたが
そこにはもう誰も居なくて

以来わたしは
泥棒になるにはどうしたらいいか
職業研究を進めている

どうやら泥棒には
手先が器用でなくては
なれないらしいので
先日から編み物を始めた

疲れた眼で
窓の外を見やると
そこには
盗まれた宝石みたいな
街灯がばらばらと光っていて

もうすぐマフラーが編み上がる
次は
手袋に挑戦しようかなと思っている


自由詩 就職支援センターのこと Copyright 吉田ぐんじょう 2006-12-30 18:41:05縦
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