2006年大晦
あおば

突然、
人間なんてららーらーららららーらー♪

フォーラムの
みんなが歌いだしたもんだから
あたまの中の空気は凍りつき
ザクザクと行進する
軍靴の音が響いてきた
かけがえのない
愛する御国のために
学問を捨て
街にも立ち寄らず
戦争に行くのです
そぼ降る雨の中を
38式歩兵銃を肩に
ひ弱そうな大学生達が練兵場を行進している縦筋の雨の降る映像を羨ましい思いで眺めていた私の親父は大学にも行けなくて戦争が終わったときでも依然として兵卒のままで伍長にもなれず
戦争が終わっても
立派な人に誰何されると
敬礼をしたまま微動もせずに
まっすぐに前を見て
自分はどこそこの某でありますと
大きな声で寝言を言った

ザクザクと軍靴の音がして
テレビの中にも
嬉しそうな大学生の行軍が見える
2006年の大晦。
 




引用 
2行目、スレッド型会議室 のスレ名です。
http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=98976

初出
現代詩フォーラム、スレッド型会議室、「愛国心を詠む」
http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=98282
投稿につき改題および追加修正。


自由詩 2006年大晦 Copyright あおば 2006-12-29 23:40:15
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