舞踏
三条麗菜

終わりが見えないほど
想い続けた夜のこと
私の中で舞踏曲が
鳴り始めます

もはや私のためには存在しない
あなたも一人の人間であることは
間違いないのです

だから私は人間にではなく
精霊によって
生かされたいと思っています

私が死を望んだ時
思い切って外に出て

太陽が優しく暖かいから
まだ死なないのだと

空が青く澄んでいるから
まだ死なないのだと

夕日が金色で美しいから
まだ死なないのだと

星が可憐に瞬いているから
まだ死なないのだと

そんな自然界の精霊に
生きる力を
与えてもらいたいのです

思い通りにはならない
人間という自然物は
あまりに複雑過ぎて
そこにはきっと何の精霊も
宿らないことでしょう

私は終わりなき音楽に合わせ
いつまでも踊りましょう
それ以外はもう何も
いらないのです

複雑な心を脱ぎ捨て
肉体を脱ぎ捨て
風に鳴る骨だけとなって
踊り続けるのです

精霊に近づくために
私を囲む精霊達と
手に手を取り合って
再び生きるために

今が分からなくなるほど
想い続けた夜のこと
私の中で舞踏曲が
鳴り続けます


自由詩 舞踏 Copyright 三条麗菜 2006-12-29 23:24:00
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