雪に強い獣
肉食のすずめ
部屋のど真ん中
椅子の上に突っ立って
震えている
それは
外に雪が降っている
からでもなく
あなたが帰ってこない事に怯えている
からでもなく
この後の修羅場への期待でもない
すぐに行けばいいじゃないか
一人で行けばいいじゃないか
椅子の他には何も無い部屋で
震えている
それは
動きの止まらない右足を
片手で押さえているからだ
もう片方の手は携帯電話を操って
頼りになりそうな人を探している
誰にも繋がらない
この状況と
外の景色が綺麗なのは
全く関係ないのだ
右足の中で 雪に強い獣が
おう、準備できたぜ
と言った