盗まれてしまう九月
千波 一也


朽ち果てようとする一枚の葉に
思い出します、
たいせつな
いろ


寒さがつのりゆく風のなかで
あらゆるものを踏みつけて
あらゆるものに火を放ち

暖まるすべは
そのすべもろともに、燃やし尽くして

震えるからだを、いま
北、がかすめてゆきました


わたしの九月は枯葉のなかです

しずかな雪の汚点のように
この手に取れば、
散ります
寝息は


短い一言だったのかも知れません
なにごとも


確証がないばかりに
真冬の星空はこんなにも澄んで、
そっと押されてしまいたい
背中です


静寂を破るものは頼りなさ、
足音も
曇る吐息も
おかえりなさい、
そうしてすぐにもお別れです


こころから遠いものたちに
戸惑う素顔を描けません、
いまは、
まだ


ねがいの痛みに隠れた分だけ
盗まれてしまう、
九月です

知りゆけば、
なお




自由詩 盗まれてしまう九月 Copyright 千波 一也 2006-12-29 16:03:21
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