エア・ポート
プテラノドン

空港に立つ君は、ベルトコンベヤーに乗せられた自分の荷物を待つ間に
荷物検査官の男は、真っ黒な犬を連れた男と共に、
レントゲンに映る不気味なシルエットに眉をひそめ、床の上には
首輪を首に食い込ませた犬の涎の溜まりができている。

そして、貼り付けられた万国のコカコーラのステッカーで、
ほとんど埋め尽くされた鞄から取り出されたのは、
数本の乾電池と製造番号が削り取られたウォークマン、
砂金袋の中で斧を投げつける格好をしていた酋長の身代わり人形。

それとは別に、二人を驚かせたのは、広げると二メートルになろうかという
幾重にも折りたたまれた子供の写真。そしてまもなく
ゲップと子供の笑い声とが部屋の中に響き渡る。

―私達の子供にそっくりだったわ!

ベルトコンベヤーに乗ってやってきた、君のパートナーでもある
ウエディングドレス姿の花嫁は興奮して話しかける。その時君は、
何も誓うべきものなどないと悟っているが、もう一度
シャンパンであふれかえった機内に戻り、高々とグラスを持ち上げ
鞄の主に向けて乾杯する。



自由詩 エア・ポート Copyright プテラノドン 2006-12-29 02:20:28
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