茉莉香

ピンセットを手に取りあなたの棘を
丁寧に一つずつ抜き取ると
小さい棘がこんなに痛みを作るなんてと
不思議がるあなたの手にはたくさんの棘

気がついているのでしょうか
私の体を抱く度に棘は刺さり
赤くなったその場所は
毒素を体中に撒き散らすのです
棘を抜こうとしても
深く突き刺さったそれは
あまりの痛さに抜く事さえままなりません

そんなに彼女に未練があるなら
去っていけばいいのです
言い訳という棘は細く長く体を貫き
標本の昆虫のように動けない私は
人形のように玩ばれ
あなたは私を好きなどと言う

ああ いつかピンセットを手に
この棘を抜いてくれる誰かが現れてほしい

痛みに慣れてしまう前に
腐りこの体が消滅する前に


自由詩Copyright 茉莉香 2006-12-28 16:41:30
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