葬碧碑
プル式

私はあなたの絵がもっと見たかったのかも知れません
あなたに幾度好きですと伝えたかをもう覚えてはいません
ある日私の家の飲み会の時にそっとキスをした事を覚えています
あなたの家にいきなり住み着いてしまった事も覚えています
幾度目かの夜に命を知り幾月かの後に命の儚さを知り
私は泣いた記憶があります
あなたはとても優しい人なのです
そんなあなたの言った怨むよという声が忘れられません
そうして幾度かの傷をあなたは抱えたのに私が与えたのに
私が逃げ出した後もあなたは私を支えてくれました
あなたの知っているように私は随分辺鄙な暮らしをしていました
あの時私が言った言葉を覚えていますか
私は弱い人間でそうして随分汚い人間なのです
それなのに私はあなたが好きなのです
そうしてあなたの事を随分と傷つけて
傷付けまいと思いながらまたこうして傷つけて
私はあなたの事が怖いのですどうしようも無く
絵は人を表すそうです
私は美しいものがかけません
子供の時分から尖った砂の中で飛ぶウサギの絵や
花にあこがれる金槌や死んで行く虫の絵ばかり描いていました
あなたは花なのです
そうして私はきっと死んで行く虫なのです
砂なのです
金槌なのです
こんな事を書いてすみません
今伝えなければ
もう伝わる事が無い様に思います
どうぞ許してください
あなたの入れてくれたジャスミンティが
とても暖かだった事を覚えています


未詩・独白 葬碧碑 Copyright プル式 2006-12-28 02:00:01
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恋の歌