神様のピアノ
船田 仰

目覚めてすぐの寝床
うまくこきゅうができなかった
神様をおそれているので
朝をけなしたりはしない

死んでしまったこどものために
ぼくは一生回転しつづける
人形ではないので
たまには目もまわす
赤くて軽いおもちゃのピアノで
まちがうことをきらいながらメロディーをとりだす
かっこわらい。

のびやかに
のびやかに
先生はぼくに言っていたっけ
ピアノにあわせて回転しつづけて
点は線になる
円がぼくをとりかこむけれども
きっと忘れてしまうよ、きっと

神様をおそれるぼくは
ピアノがひけない
だからせめて
あんたがひいてください
そして死んだこどもたちやおとなたちに
名前をあたえろよ
頭がいたいので
朝をけなします
きっとわすれてしまうんだなあと思うと
どうでもよくなった


自由詩 神様のピアノ Copyright 船田 仰 2004-04-03 13:00:32
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