神様のピアノ
船田 仰
目覚めてすぐの寝床
うまくこきゅうができなかった
神様をおそれているので
朝をけなしたりはしない
死んでしまったこどものために
ぼくは一生回転しつづける
人形ではないので
たまには目もまわす
赤くて軽いおもちゃのピアノで
まちがうことをきらいながらメロディーをとりだす
かっこわらい。
のびやかに
のびやかに
先生はぼくに言っていたっけ
ピアノにあわせて回転しつづけて
点は線になる
円がぼくをとりかこむけれども
きっと忘れてしまうよ、きっと
神様をおそれるぼくは
ピアノがひけない
だからせめて
あんたがひいてください
そして死んだこどもたちやおとなたちに
名前をあたえろよ
頭がいたいので
朝をけなします
きっとわすれてしまうんだなあと思うと
どうでもよくなった