「おやすみなさい」の森
未有花

僕がなかなか寝ないので
ママが「おやすみなさい」の森へ
行きなさいと言った
僕はしかたがないので
安心毛布を引きずって
「おやすみなさい」の森へ向かう

森は暗くて静かだった
誰もいないのかなあ
きっと「おやすみなさい」の森だから
みんな寝てるのかもしれない

ふと空を見上げると
木の隙間からたくさんの星が見えた
こんなに星がきれいなのに
寝ちゃうなんてもったいないよ
虫取り網を持って来れば良かったな
そうすれば星を取ることもできたのに

僕はぶつぶつ言いながら
誰もいない森を歩いて行く
しばらく行くと遠くに
ぼんやり明かりが見えた
もしかしたら絵本で読んだ
お菓子の家かもしれない
僕の足はだんだん速くなる

近づいて見ると
お菓子の家でも何でもなくて
ただの僕の家だった
何だあもう帰って来ちゃったのかな
煌々と明かりのつく玄関を抜けて
階段を上ると
暗く長い廊下がどこまでも続いていた

あれれ 僕の部屋はどこだっけ?
ドアの隙間から
明かりが漏れる部屋がそうかな
ふああ 眠くもないのにあくびが出た
早く行ってベッドで寝なくちゃ
僕は安心毛布を引きずって
急いで僕の部屋へ歩いて行った

だけど確かに明かりが見えるのに
なかなかたどりつかないんだ
どうしてだろう
僕が早く寝なかった罰かも
部屋についたらすぐにベッドに入って
ママにおやすみなさいって言わなくちゃ


自由詩 「おやすみなさい」の森 Copyright 未有花 2006-12-27 10:27:13
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