【ニョロウイルス】
つむじまがり

ニョロウイルスが猛威をふるっている

まさかの日本上陸で政府も急遽対策本部を設置
現在感染中の本部長を欠いたままの会議は深夜に及んだ。
現在把握されている症状は

・少食になる
・目の焦点が合わなくなる
・伏目がちで寡黙になる
・すぐ諦める
・人に優しくなる
・無機物に話しかける
・涙もろくなる
・季節の移り変わりに敏感になる
・七五調で文章を書く
等で感染者の多くは「詩人」であると言う。

これを受け政府は詩人を隔離するために
有識者を招き、詩人判別諮問会議を開催した。
詩人(潜在的詩人、元詩人を含む)と、非詩人
の判別方法の議論は明け方まで続いた。
同会議の結果報告によると、詩人の定義は

「ニョロウイルスに感染している者は詩人である」

と言う逆説的なものだった。

これに対しニョロウイルス感染者の如月弥生さん(24)は

「全ては時の止まり木ね」

と目の前の灰皿に物憂げに語った。

感染者はアポリネールの詩に激しく反応をする為、
感染源は海外旅行者が持ち込んだアポリネールの写真という説もあるが、
詳細は不明である。






自由詩 【ニョロウイルス】 Copyright つむじまがり 2006-12-25 21:46:52
notebook Home