不酔歌
松本 卓也

噛んだ唇から
滲む血の味
鉄と酒と汗が混じり
この上なく不味い

今日も視線が通り過ぎた
降りかかる事の無い声が
目の前で遊んでいる

枯れた涙が頬を伝い
無為な恨み言だけが
今を形成する要素になる

意味が分らない
嘯く言葉の真意
嘆きや怒りでもない
ただひたすらに寂しい

アルコールの力が無ければ
眠りさえ訪れないほど
溜息だけが零れ
愚痴だけが重なる

そんな言葉 聞きたくなかった

問うても 嘆いても
何をもたらす事も無い
悲しみが残るだけ


自由詩 不酔歌 Copyright 松本 卓也 2006-12-25 01:03:25
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