創書日和「紙」 紙
北野つづみ

机上に
紙を一枚立てたいのなら
紙を折ったり、丸めたりするといい
薄い紙ならなおのこと
いくども折ったり、丸めたりする

内側に書かれた文字が
外から見えなくなっても
強さを優先するなら
折ったり、丸めたりするしかない
あなたが紙を、立たせたいなら

朝ごとに
一枚の紙をわたしは取り出す
丁寧に折りじわをのばし、
丸めた癖を直して
そうして
どうしたら一番少ない折れ目で
しっかりと立つか、考える

隠れてしまった文字は
やはり、大切な言葉なのだろうけれど
今は知らなくていい
いつか全てをきれいさっぱり
焼却するときに、わかる


二〇〇六年十二月二十二日


自由詩 創書日和「紙」 紙 Copyright 北野つづみ 2006-12-22 21:25:16
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