無意味なカラー
なかがわひろか

時々いろんなものが
ただの無意味なカラーに見えるけど
なんだか新しい虹みたいで
それもきれいだからいいと思う

悲しくなった時に流す涙って
頬を伝ったり
ボロボロと化粧を落としたり
顔がくしゃくしゃになったりで

すごくきれいな人が
汚い顔になる瞬間が
なんだかたまらなく好きだな

「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
何も買わなくても
優しく声をかけてくれる
ついでに僕の名前も
呼んでもらえないかな

君のきれいな声に呼ばれたら
ここにいるって感じられる気がするよ

すごくよく晴れた天気の時に
干される傘って
この世で一番きれいな気がするんだ
パリパリに乾いた傘に
雨も恐れて降り落ちない

化粧を落とす悲しみ涙
褒美を求めない素敵な笑顔
晴れの日に干される傘

きれいな物にはきっと
いろんな矛盾があって
だからそれが
とてもきれいなんだなって
思える気がする

そんな気がするんだ

(「無意味なカラー」)


自由詩 無意味なカラー Copyright なかがわひろか 2006-12-21 23:00:42
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