常夜灯
三条麗菜

今日もまた
あなたのいない夜が来て
私の裸体に
常夜灯が点々と灯ります

あなたの吹きかける息だけが
ランプの中で揺れている
赤い炎を消すことが
できるのです

一つ一つ
あなたに見てもらうため
ランプには細かい彫刻を
ほどこしました

絡み合う蔦や
溶け合う軟体動物や
細かい枝を揺らす木や
露を光らせた花びらを

どうかごらん下さい
どうか触れて下さい
どうか優しく撫でて
可愛がって下さい

そしてあなたの吹く息で
ランプの炎は引っ込んで
私の中に飲み込まれます
一つそしてまた一つと

すべての炎が消えた時
暗闇の中で私が炎となって
あなたを照らして抱くのです
あなたの裸体も私のように
炎となって
炎となって

でも今は
いくつもの常夜灯が
静かに灯っているだけです

それはなだらかな
砂丘の連なり
乾ききった地面の上で
常夜灯の炎だけが
ただ揺れているのです

夜はひたすら長く
あなたはいつまでも
来ません


自由詩 常夜灯 Copyright 三条麗菜 2006-12-21 22:35:13
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