育て、糞餓鬼ども
知風

大人の思惑も他所に
餓鬼どもは尻を突き出す

子供は大人によって正しく
育てられなければならない

などと説く者は気づいていない
それは縛り上げるのと同じ事

だけど餓鬼は囲いを破る
密かに地下壕を掘る


責任を問いたがる大人
おまえの恨みは知れている

素直で生命弱き餓鬼は
舌を突き出すことが出来ないまま

存在不安を腹の底に抱え
怨念を腐らせて育つ

そんな餓鬼は年だけ重ね
愛という名の抑圧者となる


そもそも我々誰ひとりとて
存在の自由など持たぬのだ

決められた親と国と土地と
そして決められたこの体

我々は不自由なる存在として
この世に送り出されなければならない

我々の生そのものが
存在を勝ち得るためにあるのだ


そう ただ生きる自由こそが
我々に与えられた真の自由

動き回り じたばたして
己の存在をもぎ取らねばならない

戦いの中に己を知り
戦いの中でのみ存在の自由を得る

そして我々は戦いの中でのみ
もうひとつの不自由な魂を知りうるのだ


全ての愛は
戦いの後にのみ訪れる

それを忘れた者どもは
臆病な愛を搾取しあう

親もまた子と戦わねばならない
血に甘えた愛は粘つく毒だ

戦い疲れ倒れた親子の目には
すっきりと晴れた碧空が映るだろう


歯牙なき狼を犬と呼ぶならば
己が子らを飼い殺してはならぬ

子供たちに武器を!
全ての子供らに、決して折れぬ剣を与えよ!


育て、糞餓鬼ども

栄光の戦場を
おまえたちの生命で輝かせよ


自由詩 育て、糞餓鬼ども Copyright 知風 2006-12-21 03:28:25
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