麦畑の舟 
服部 剛

一面に広がる金色こんじきの 
麦畑の上に浮かぶ 
一本の道 

飛び込み台のように 
道の途切れた向こうに浮かぶ 
一艘いっそうの船 

途切れた道先に 
組んだ両手を腰にあてたたずんでいる
一人の女 


( 傍らに
( ぼんやり姿を現す
( 野仏の影 


女はいつまでも立っている 
背後に自らの影を伸ばして 

吹き過ぎる風になびく
金色の麦畑の上
手の届かない場所で 
夕陽に染まりゆく
舟をながめて 



  * この詩は吉田稔美氏の絵「Ship」を参考に書きました。 





自由詩 麦畑の舟  Copyright 服部 剛 2006-12-20 20:20:15
notebook Home 戻る