手をふる明日
夕凪ここあ

ハロー、グッバイ
まわる世界
君の手のひら
夕暮れてく空に
まどろんでいても
昨日の続きなんてどこにもない
意識が遠のきそうなほどの
鮮やかなオレンジ
それでもうまく
あの空の青さに混ざれない
いつまでも浮遊して


線路沿いを
履き潰した靴で歩いて
小さく呟いた鼻歌を
電車が掻き消してく
風が生まれて
懐かしい匂いだけを残して
通り過ぎてく
線路の先に
昨日が待っていそうでも
泣いてばかりでは
いられないことを
知っているつもりでも
何もかも
悲しみで満たされてる気さえして

この町も
この世界も
いつも、いつでも
満たされてるハロー、グッバイ
の片隅で
呼吸してる
感傷ばかりしてないで
なんて
明日が迫ってくるから
やさしさに
触れたがってるハロー、グッバイ
また
まわる世界

夜の窓を
知らないで開けてしまった
悲しい夢ばかりを
見ていた
君の手のひらと
すれ違い
私の温度と
君の温度は
微妙にずれて いて
いつかのオレンジみたく
浮遊してる
夜には
粒子にさえなって
手の届かない距離、で


小さい頃は
なんでもなかったハロー、グッバイ
なんでもなかった、はずの
痛みが沈殿して
揺れるたびに渦巻いてた
気づく頃には、もう
どうしようもないほどの
悲しみになって、また痛んでる




自由詩 手をふる明日 Copyright 夕凪ここあ 2006-12-20 00:30:35
notebook Home 戻る