*スゥジーとパパの初ゲンカ
知風
ある日スゥジーのパパが
おませなスゥジーに尋ねた
― スゥジーは大きくなったら何になりたい?
― 宇宙人。
― パイロットのことかい?
― ちがうよ、宇宙人。
― ハハハ、スゥジーは変わってるな。
― 悪いの?
― 悪いとは言わないけどな…他にないのか?
― 他って?
― 例えばそう…パパのお嫁さん、とか。
― やだ。
― やだって。そんなはっきり「やだ」って。ハハハ。
― パパのお嫁さんはママでしょ。
― ママと結婚してるからって他の人と結婚しちゃダメだって法はないぞ。
― あるよ。しっかり明文化されてるよ。重犯罪だよ。
― いいかい?パパの愛に掟という鎖はないんだよ。ハハハ。
― それ笑えなーい。気持ち悪ーい。
― 知らない間になまいきな口を利くようになったな、スゥジー。
― いつまでもガキじゃないのよ、あたしも。
― ハハハ。スゥジー、いい加減にしないとパパ、くじけてしまうぞ。
― だいたい親子じゃ結婚できないでしょ、パパってバカね。
― なに、バカだと?パパにバカというような子は許さん!おまえは勘当だ!!
― ……パパ、本気でおこったの?
― ……これで親子じゃなくなったな……?
― え?
― どうだ、これが法の抜け穴というものだ…さぁスゥジー!パパと結婚だ!ハハハハハ!
― バカ言ってんじゃないわよ!この糞爺ぃ!!!
五歳のスゥジーとパパで交わされた
この会話が始まりでした
そして
スゥジーが大きくなって
宇宙人にはなれないまま
パパ以外の男と結婚するまで
このケンカは続いたのです