なみだのつぼみ
Rin K

なんということ
こんなにもきれいな
瞳をしているのに


のに


祖母は私の瞼に触れて
また少しちいさく
かすれてゆくかのように
そう言ったんだ
薄い皮膚で感じた
あなたの指先の感触
なみだのつぼみが開いたときに
こぼれ落ちた透明で、潤っていた

白いほしの頃でした

冴えわたる空気の糸が
わずかばかり弛んだときに
頬を滑り落ちた花びらの感覚が
あの指の流れとよく似ていて
この頃になれば
あなたに、ひとつ
伝えたくなる

私の瞳は
たしかにひと様ほどには世界を
うつしてはくれないのだけれど
ほら
こうやって花も咲かせられる
小さなほしも
浮かべられる


のに


なんて言わないで
たりないことと
できないことは
同じではないと
教えてくれたのは
誰でもなく
あなたなのですから









     


自由詩 なみだのつぼみ Copyright Rin K 2006-12-17 01:50:29縦
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