冬薔薇
LEO

昨夜に限っては
悪夢にもうなされず
いっときだけ
窓をたたく雨の音を
聞いた気がする
夜の中にあって
感情を露わにしないまま
目覚めたのは幾日ぶりのことだろう
確かに雨は
濡れたアスファルトに
湿気を孕んだ風が冷たい
曇天の切れ間に見えた青い空が
今日これからの一日を
すこしだけ期待させてくれた

目を留めた敷地の一角
初夏には甘い香りが溢れていた
今は淋しくあるばかりの薔薇の蔦に
薄紅色した花が一輪二輪
ひとつはまだ蕾のままで
雨に濡れている
もうひとつの
小さく開いた花を
手にとって目を瞑る
僅かな匂いを食んだ胸が
大きく膨らんでゆく
膨らんでゆくそれは
かつては憧れであったろうか

いまはただ

静かに目をあければ
アイスブルーの空が広がっていた


自由詩 冬薔薇 Copyright LEO 2006-12-16 21:50:48
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