半導体、その彼岸へ
はらだまさる

珪石、打ち鳴らし、
火花が砕けた。
日々には
何も影響しないし
縫い付けない。
去年の冬に読んだ、
ある外資系投資家の
凡庸な装飾と比喩、
エチオピア・ハラーという珈琲が
おいしいくらいの熱量と
多少の気恥ずかしさ、
それらが絶妙に
束ねてある本。

全自動洗濯機が
アメリカンフットボールの選手に似てる、
なんて言うのはお前だけで
好きなミュージシャンは
ボアダムスだったっけ。
窓の向こうに咲いているよ、
花が、きれいな。

遮断されたのと、
されてないの。

それよりも
今夜は地下鉄で食事しよう。
いつも飽きるほど
中間色が繰り返される
銀色のエンジニアリングで
君の暮らす街と
僕の街を繋ぐ
レールを
切断しよう。

三十二年、四で割る。
さよなら憂鬱、
もうこれ以上の
接続詞は持ち合わせてないよ。
動物たちの庭、
汚れた犬がココアパウダーを
前足で掘り起こす、
叢のなか、
甘え。

通るのと、
通らないのと。


お帰り。
早かったね、
エレクトロニクス。






自由詩 半導体、その彼岸へ Copyright はらだまさる 2006-12-15 20:56:29
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