「雨」
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雨が降ると
紫陽花の咲くあの場所を思い出す
カタツムリは今日も
葉っぱに隠れて雨宿りをしているのかな

高校生の頃
雨が降った日には
よく二人で放課後の音楽室で時間をつぶした
君の奏でるけっこう上手なピアノを聴きながら
僕は窓の外に咲く紫陽花を眺めた

あの時の君の横顔は何を見つめていたんだろう

ある雨の日
雨が止み、
僕たちはいつものように
意味のない傘を一本ずつ手に取り
誰もいない帰り道をただ共に歩いた
隣りを見ると
君の横顔はどこか曇っていて
雨が止んだっていうのに
また一雨降りそうな気がして
そして、
次の分かれ道
君は僕にさよならと言った

しばらくすると、
やっぱり雨が降ってきて
君の後ろ姿が消えてゆくほど
僕は
何だか切なくなって
傘を差してひとり家路に着いた


自由詩 「雨」 Copyright 404 not found 2006-12-14 23:33:47
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