詩集を作るアイデア
イダヅカマコト

詩集をね、つくるんだ
みんなに渡せるからね
少し黄色い紙ならね
目もちかちかしない
はずさ
知って欲しいからね
僕のことを
これから伸びてゆく詩人だからって
今知ってほしいのは
僕がいるってことさ
初めてやるからね
何度も言わないと
忘れられてしまうかも
名前はなくとも詩はのこるっていうけどね
人がみんな名前を持っているというのは
結構新しい発明なんだよ
前漢の高祖っていうのは兄貴って呼び名だけで今も呼ばれているんだ
孔子様や老子様やモーゼ様やなんかの
人の道徳が出揃った後に生まれたから
みんな名前を持つのは不道徳さ
だから今では二つ以上名前を持って見せびらかすんだ
自分で選び取った未来を示すために
「Hey Yo!
「今夜俺の名前を刻み付けることになるぜ
「アンダーグラウンドからメインシーンまで響き渡るぜ
ってラッパーも叫ぶじゃ
ないか
耳で聞くよりもね
目で見る方がわかりやすいから
いつでも持ち運べて
いつでもわかるように
名刺形の詩集にするんだ
もちろん名前も書くよ
いつでも配れるようにね
名前が見えるからみんな分かってくれる
はず

名前の上に詩をのせれば
ここに書かれている言葉は僕を土台にしています
名前が詩の上にのれば
僕は詩に支えられて生きています
苗字と名前を詩で分けると
家庭から独立した僕がいる
たぶん僕から詩がにじみ出るんだよ
名前の裏に詩があるときは
でもみんなは名前と詩のどちらを上にしてくれるんだろう
右に名前左に詩
つりあった日にゃ彼女にはもう会えないな
いくつデザインできるかがすでに
僕と詩との関係を表すんだ
書かれるよりも前に表現されるのだから
それはすでに真心というのかも
ってね
でもね
きっと名前の脇には
住所とメールアドレスと
電話番号を書くよ
詩はインターネットで読めるからね
詩集は名刺代わりになって
営業を始めるんだ
一部一部みんなに売って
買わない人にも一枚わたすんだ
体験版っていって
俺本当は商売したいのかな


自由詩 詩集を作るアイデア Copyright イダヅカマコト 2006-12-14 20:30:04
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