みかん
たもつ

夢を見て泣いていた
スリッパが重たくて
空を飛べない夢だった
食後、健康に良いからと
母親がみかんを一つ勧めてくれた
外に出ると
街にサーカスが来る日だったので
誰も淋しくなどなかった
すべての人がテント小屋に入れるわけではないが
周囲には様々な露天商が並び
毎年にぎやかだった
広場へと向かう人々の流れに逆らって
小走りに進んだ
どうしても飛ばなければならなかった



自由詩 みかん Copyright たもつ 2006-12-14 12:33:25
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