知る銀色
結城 森士

(僕を殺した声を殺す為に
 知る時計の音)

堅固なピラミッドの秩序が崩壊していく
不可視のラジオの雑音の中で目覚めて
無機質な時計の音が永遠に鳴っていたこと

記憶の朝、
白い光の電車に乗って
揺れながら血の色で
彼女を想いながら春の草花
に揺れながら目覚めて
時計の音が永遠に鳴っていたこと

鉄橋から川の流れを覗く風が長い髪を流れ
水。日々鏡を望む水の色に泣きながら目覚めて
時計の音が永遠に鳴っていたこと

あの日の四人の影が食堂で夕暮れまで笑いあっている
永遠の西日を受け影になりながら四人が笑いあって
、伸びて


(繊細な記憶の
 闇グラスの闇の線、
 円の内側を流れて
 空の
 向こうの
 上の彼岸の
 暗雲の辺りから
 重い・・・・・・・・・・・・。
 呼吸が乱れて時計の音が
 永遠に鳴っていた
 こと)

不完全で透明な夜明けの空白

(が、
 永遠に鳴っていた夜通し永遠に笑っていた
 夕暮れは、402号室は、グラスの闇。闇の線の上を歩く)


あの日時計の針が永遠に壊れ、グラスが流れ
針が回っていなかったことを知った日のこと

例えばそれは永遠に止まってしまった偽善者
偽善者、偽善者、という彼女の叫び
声が水に映り、割れる、割る、
割れる悪夢の内側から
無機質な時計の音が
永遠に鳴り続けている
こと

感情は死してなお目覚めそれでも永遠に鳴っていたい
と願う幻想の記憶の中で、目覚め、虚ろ、
時々、その日を思い返すと
銀色の草花の匂いがする

(僕を殺した声を殺す為に
 知る銀色の声、声、声)


自由詩 知る銀色 Copyright 結城 森士 2006-12-14 00:32:39
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