眠れない夜のために
月夜野

 夜の底を穿つ水音
 眠れぬ魂のノクターン
 聞いているのは無欲な死人
 潰えた昨日を懐かしむ
 夢路の扉は閉ざされて
 明けない夜の牢獄で
 呻いているのは咎人ばかり


 その頃どこかの岸辺には
 漆黒の天使が舞い降りて
 弱った子どもの唇から
 最期の息を奪い取る
 夜の虜囚はその音を
 はるかな窓辺で聞きながら
 縛められた魂が
 砂のように崩れる時を
 焦がれるように待つばかり




自由詩 眠れない夜のために Copyright 月夜野 2006-12-10 22:39:19
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