かぶきちょう
李恵


目をつぶる
ここは街のど真ん中だ
雑踏・雑音・声あられ
過ぎる人々は舌打ちで僕をみる
ここでの知名度は約0%の新製品
これから試作を繰り返し世にでて羽ばたこう僕


敵はどこにいる?僕は盲目の戦士だ
拳をあげて腕を振り回し
ドロップキック
鳩尾なんて知らないしでも急所は知っている
そうそこに明るいダイヤモンド
いやアメジストかな光ってるし


ブレイクダンスを踊るように宙を舞い上がり
見えない敵と戦って



アハハハハッハハ



単調な動きしかしない目の前の物体
笑いながら踊る盲目の戦士
おかしくて笑えてきちゃうよ
僕は目が見えている
見えないのは敵だけだ

僕を嬲ろうとしてる君たちは僕の敵じゃない


僕の敵は目に見えなくて
でも確実に僕の目の前にあって僕に張り付いて
ねばねばした食虫植物に捕まってしまった哀れな子虫

僕はまるでコンドームみたいで
穴があいてるからポイ

ポイポイポイ

食虫植物に食べられて消化されずにさなぎになるさ


孵ったときにはみてろ
羽のない僕はねばねばしたものをぶらさげて
大笑いで僕をつくった両親に、政治に、国に、世界に、挑戦状をいどむよ

足枷はひとりじゃ取れないから



だから僕は目をつぶる
盲目の戦士は正しき道のみに光を与えてくれるのだ


未詩・独白 かぶきちょう Copyright 李恵 2006-12-08 15:13:48
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