かぶきちょう
李恵
目をつぶる
ここは街のど真ん中だ
雑踏・雑音・声あられ
過ぎる人々は舌打ちで僕をみる
ここでの知名度は約0%の新製品
これから試作を繰り返し世にでて羽ばたこう僕
敵はどこにいる?僕は盲目の戦士だ
拳をあげて腕を振り回し
ドロップキック
鳩尾なんて知らないしでも急所は知っている
そうそこに明るいダイヤモンド
いやアメジストかな光ってるし
ブレイクダンスを踊るように宙を舞い上がり
見えない敵と戦って
アハハハハッハハ
単調な動きしかしない目の前の物体
笑いながら踊る盲目の戦士
おかしくて笑えてきちゃうよ
僕は目が見えている
見えないのは敵だけだ
僕を嬲ろうとしてる君たちは僕の敵じゃない
僕の敵は目に見えなくて
でも確実に僕の目の前にあって僕に張り付いて
ねばねばした食虫植物に捕まってしまった哀れな子虫
僕はまるでコンドームみたいで
穴があいてるからポイ
ポイポイポイ
食虫植物に食べられて消化されずにさなぎになるさ
孵ったときにはみてろ
羽のない僕はねばねばしたものをぶらさげて
大笑いで僕をつくった両親に、政治に、国に、世界に、挑戦状をいどむよ
足枷はひとりじゃ取れないから
だから僕は目をつぶる
盲目の戦士は正しき道のみに光を与えてくれるのだ