ストロー
藤原有絵

まだ醒めない夢の温度で
世界がひどくゆっくりまわる数瞬
素晴らしく生きる人に憧れて
追いかけてきたら迷子になって
戻れない事を後悔してはいけないと
大人ってたおやかに時間を食むから

嗚呼


薄く切り取って並べた写真
部屋中にきらめいて
呼吸の度に細かくふるえる
力の限り放った言葉が
乱反射して胸に痛い
もうあの頃のような子供ではなく

決して


しがんだストローがかさついて
歯を立てても弾力は無く

諦めるように布団を抜け出て
目をそらすほどの光を受けて

焼き付いた習慣を辿って

始まる今日さえ
永遠とは思わない






自由詩 ストロー Copyright 藤原有絵 2006-12-06 13:24:04
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