ストロー
藤原有絵
まだ醒めない夢の温度で
世界がひどくゆっくりまわる数瞬
素晴らしく生きる人に憧れて
追いかけてきたら迷子になって
戻れない事を後悔してはいけないと
大人ってたおやかに時間を食むから
嗚呼
薄く切り取って並べた写真
部屋中にきらめいて
呼吸の度に細かくふるえる
力の限り放った言葉が
乱反射して胸に痛い
もうあの頃のような子供ではなく
決して
しがんだストローがかさついて
歯を立てても弾力は無く
諦めるように布団を抜け出て
目をそらすほどの光を受けて
焼き付いた習慣を辿って
始まる今日さえ
永遠とは思わない