雪ん子のうた
恋月 ぴの
雪ん子舞い散る故郷から
童子たちのまぶしい笑顔が消えた
あの頃の笑い声は
顧みることを忘れた古いアルバムのなか
北風ぴゅうぴゅう寒かろう
すっかり刈り取られた稲田を望む
古びた祠の
お地蔵さんよ
終の棲家は何処にある
北風ぴゅうぴゅう寒かろう
何処まで押し流されていくのかなんて
知ったことじゃない
中途半端はよしてくれ
したりとまどろむ眼差しは
そんなものさと黙するばかりで
それでも忘れられた訳じゃ無いのさ
ひとりぼっちになった訳じゃ無いのさ
さらさら舞い散る雪ん子は
こっちにおいでと呼んでいる
一緒に遊ぼと呼んでいる