チェーレ 真珠の涙
石瀬琳々

チェーレ
君の長い睫毛から
真珠がこぼれる
チェーレ
あまりに無垢すぎて
僕はひとつもこぼさないよう
手のひらで受け止めようと


振り向きざま
君の髪がやさしくなびく
歌を歌っていたんだろう
その唇をやわらかく閉じて
君をふいに抱きしめたかった
花を無残に手折るように


チェーレ
君に触れると
泣き出してしまうのはなぜ
チェーレ
夢を見ていたんだ
僕はこのまま手をさし出して
君の涙で溺れてしまおうと
永遠に溺れてしまおうと


窓の外は雪
君の翻るマントの羽飾り
音もなく去ってゆく瞳に
涙の粒は凍りついて
君をずっと閉じ込めたかった
この白の中に埋めつくして



自由詩 チェーレ 真珠の涙 Copyright 石瀬琳々 2006-12-05 15:44:20
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