生きぬく力
恋月 ぴの
陽だまりのベンチで
あなたの姿を見つけたよ
何気ない仕草のひとつひとつから
幸せのあり方を掬いだしては
これで良いのだと
ひとり頷くあなたの姿
大きな卵でも抱きかかえるように
胸の前で孤を描き
これくらいだったら良いねと
眩しげに空を見上げる
(もっと大きいのは駄目かな
これぐらいがちょうど良いのさ
抱えきれない大きさじゃ
誰かに盗られないかと心配で
夜もおちおち眠れないだろ
両腕で孤を描いたまま背伸びをひとつ
厳しさを増す木枯しの季節にも
陽だまりは必ずあるからね
(欲張りすぎちゃいけないのかな
凍えて縮こまったこころを癒してくれる
そんな小春日和の陽だまりで
あなたは
先に行こうとするのでもなく
後戻りしようとするのでもなく
肩の力なんか抜いたら
組んだ脚振り子みたいに揺らしてる