矮小なヒーロー。
もののあはれ
「お前はヒーローじゃないんだよ。」
会社の上司によく言われる。
芋焼酎の甘美な力を借りて。
人生について語るとしばしば指摘を受ける。
積極的にヒーローになろうとしてはいないが。
まあ、なれるものならなりたいが。
まあ、なれないけど、なりたいけど。
兎に角、僕の持つ思想を雄弁に語り始めると。
確実に切り崩そうとしてくる。
ロートルボクサーのカウンターの如き老獪さで。
僕の唇の動きをユラユラリと読み込んで。
的確に言動をかぶせ。
そしてヒットさせて来る。
まあ、それはそれでいいのだが。
まあ、良くはないのだが。
いずれにしても3LDKに住むか4LDKに住むのか。
そんなどうでもいい会話するよりは、人間らしいじゃないか。
ええ、おい!
まあ、この科白は焼酎の力を持ってしても言えないけどねー。
へへ。
随分と矮小なヒーローだこと。