もしもわたしが
さくらほ

もしもわたしが秋ならば
都会のビルや街路樹ごしに
優しくあなたに
オレンジ色の陽だまりを届けよう


もしもわたしが空ならば
あなたが見る通勤電車の窓の向こうに
透んだ永遠の水色を用意して
張り詰めたせわしない時を
ゆるやかなものにしよう


もしもわたしが星ならば
小さな星になり
ただ誰かの祈りを一緒に祈りたい


もしもわたしが夢ならば
悲しきものも
冷たきものも
全て抱えて
全て受け止めて
朝が来るまでに消えてしまおう


わたしは何にもなれぬけど
もしもわたしが
誰かの心をぎゅっと抱きしめる事ができたら
それは幸せ


自由詩 もしもわたしが Copyright さくらほ 2006-12-01 16:22:11
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