雨上がりの路地裏で
山崎 風雅

 細い糸のような雨が上がった
 日が変ると同時に止んだ
 
 慌しく過ぎて行く日々に
 ひび割れていく心
 解こうとすればするほど
 拗れていく魂

 腐るほど希望の詩を書いたけど
 そんなものはイミテーション
 本当の心の深いところでは
 いつも涙が止まらない

 所詮生きても7、80年
 何を残そうか
 何を残そうか

 くだらない日々に
 諦めモードの携帯電話
 頼むから寝かしてくれ
 喧騒の街は苦手だ

 やみくもにここまで走ってきたけど
 手に入れたのはわずかな常識

 モラルの網にかかった俺は
 心の旅にも出かけられない
 
 
 細い糸のような雨は上がった


 失うことの怖れを感じて
 冒険ができやしない

 この生活を守るため
 未知の扉を開けられない

 暗い路地裏で
 天を見上げる
 まだ雲に覆われた空
 微かでも繋がっている心ならば
 希望の詩が聞こえてくるはず

 どこまでも続くのが
 詩人の言葉ならば
 せめてもの救いになる

 
 細い糸のような雨が上がった

 少し心が軽くなった
 
 
 
 




 
 


自由詩 雨上がりの路地裏で Copyright 山崎 風雅 2006-11-27 01:38:18
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