ピシャウ
黒川排除 (oldsoup)

カラーテレビに色とりどりの濾過映る

策尽きて月待つ村の異様な過疎

逆さまの鉄塔の中を渦巻く石油

墓殴る顔の形に変わるまで

二階から鉤爪と少女の嗚咽

前頭葉にアルミ箔貼られ他者の想念

風吹く前にも風が、ひとはいなかった

おだやかな眠りの三時もジグソーで切られ

地下水脈の交わり伏せる兜朽ち

歌にある旧家に無為のチューブばかり

屋上に息の根到達するまで止める

牧場がいきなり切れてそこから宇宙

苦笑が楽しくてしかたない子に国を消される

野山の机を紙切れみたいに一枚の鳥

ガラスの栞に同年没と透かし見る

枝折れるこの液体も水なのね

極地のドア目印でしかないが開く

毒蛇の蛇の部分が生き框

正しくは牛の悲鳴である刺繍

眉間に消える吉報握りしめたまま


川柳 ピシャウ Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-11-26 01:38:46
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