雪とバニラと僕らの関係
Rin K



北へ向かえば
沙羅(しゃら)と響く、雪の羽音―――




心地いいほどに
絡まる、しらべ
高みにずれてゆく、音階
いつだって夢から、さめたら
君が立っていた
両の手に
愛情をさげて
感覚ではつかめない、かたち
あの日の愛情は、雪とバニラの
白い関係

バニラアイスの後味が
甘いものの中では
君の次に好きだった
少し熱のある僕が待っている、ただそれだけの
雪と氷と一筋の道しかない、小さな
部屋に君は
袋いっぱいの深雪のなかに
それをうずめて、運んできてくれた
ただそれだけの、小さな日記
雪とバニラの白い関係

冬が去り
春が去り
夏がゆき
君が去り
そして二度目の、冬が来る
秋には秋の公孫樹のように
冬には冬の羽のように
ありがとうを重ねていった 君へ
―――あげたものは忘れたけれど
   きっと、それは
   僕には余っていたものなんだ
   雪とバニラと引き換えに、もう
   返さなくてもいいから―――




振り向けば
沙羅(しゃら)と響く、雪の羽音
心地いいゆるぎ
まどろむ甘さの中
沙羅(しゃら)と散る、感覚
感覚でははかれない重み
バニラアイスの後味が
甘いものの中では
君の次に好きだった



自由詩 雪とバニラと僕らの関係 Copyright Rin K 2006-11-25 21:50:27
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