生命
渡辺亘
ゆっくりと冷えていく
宇宙の中で
生命が生まれてくる
ゆっくりと冷えていく
心の中で
情熱が生まれてくる
今度こそは明かさない
明かせないと誓っても
詩は生まれる
それは生きようとする意志
どんなに薄っぺらく
浅はかでもいい
生きようとする意志ほど
尊いものはない
苦りきってもいい
たおれても
はいつくばっても
生きようとする意志ほど
尊いものはない
私は凡夫
神でもなければ悪魔でもない
感情と理性の間で
揺れ動く者
あるいは
自分のために生きたいという願いと
他者のために生きたいという願い
その間で揺れ動く者
ゆらゆら 揺れ動く
私は私を
否定も肯定もしない
ただ
世を生き抜いていくための
絶対の哲学を見つけたい
万古 人間が考えてきた
思想を学ぶ旅に出たが
未だ それは見つからぬ
未だ それは見つからぬ
もしかすると
今 私の持っている宗教の中に
それはあるのではないか
我が宗教では
三世の生命の永遠を説く
仏も衆生も
同じ生命
ゆえに
私にも無限の可能性があるという
ならば 知りたい
生命の永遠を
じかにふれたい
永遠の法に
それには
祈るしかない
信じるしかない
人と交わるしかない
きっと
きっと
生命の永遠を
自己の生命の中に
見つけてみせる