アロンアルファを塗りだくれ
カンチェルスキス

 






 なんて朝だ
 頭が取れて落ちそうだ
 二日酔いの後じゃ
 はらわたえぐられた青魚のように
 水面に浮かんで
 早く消えてしまうことを
 望むばかりだ
 パジャマの世界から
 抜け出してきたようなおっさんが
 電車の優先座席に座って
 エロ雑誌のお気に入りのページを破って
 バッグにしまった
 2枚も3枚も
 それで何をしようって言うのか
 むしり取られたような頭は
 オーストラリアの
 エアーズロックの赤土みたいに
 地肌がまるみえで
 おっ勃ったペニスの先っちょみたいだった
 そして斜め向かいに座って
 だべってるおしゃべり連射砲の女子高生たちは
 スカートがやたらと短くて
 相変わらずきたない
 朝から
 朝っぱらから
 こんなにも電車の中は性欲に満ちてて
 そしておれは出荷される途中の
 毛のない鶏肉みたいに
 吊り革にぶら下がって
 勃つ元気もない
 これからライン作業の仕事が
 待ち構えているのだ
 電車が進むたびに
 分解していきそうな頭の割れ目に
 射し込んでくる朝日に抗いながら
 



 ダム建設を反対する市民運動家の
 拡声器の声が
 ひび割れまくる駅前で
 おれは新興


自由詩 アロンアルファを塗りだくれ Copyright カンチェルスキス 2006-11-24 17:43:48
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