真夜中の電話
草野春心



  言いたい言葉は短いのに
  伝えたい事は単純なのに
  どこまでも膨らんでしまう



  破裂しそうな心と身体を
  布団の下に隠して暮らして
  なにもかも見えなくなる



  さびしいんだ一人で居るのが
  こわいんだ傷つくのが
  君の声が聴きたいんだ



  もう夜は深いけど
  今すぐ会えたらなあ
  毎日 会えたらなあ



  おさえつけた気持ちの奥で
  五歳の僕が何かを言ってる
  苦しくて切なくて 君に伝えたくて



  真夜中に君を呼ぶ
  僕の話を聞かせたい
  君の相槌が聞きたい



  「どうしたの?」たったその一言が
  透き通る君の声が 僕の喉につかえた
  その痛みさえも 失いたくない



  言いたい言葉は短いけど
  伝えたい事は単純だけど
  布団の下に隠しておくよ



自由詩 真夜中の電話 Copyright 草野春心 2006-11-23 00:23:58
notebook Home 戻る