眠れない夜、虹色の夢に支配される
結城 森士
白紙のような夜には
目を瞑れば金色の旋律が細い糸をゆったりと垂らして(何処にいった)
時を止めたようにさらさらと揺れているので―――――・・・落ちていく―――――
落ちていく記憶さえ
虹色の部屋に(留めておく)
ハンモックを掛けよう―――――金色のイトで―――――――
天井を下に僕も一緒に揺れているので、自然と体が空中に浮かび上がっていく(空に、落ちていくような、不透明な)夜の意識、・・・意図。
(二重の僕は、いつもの様に)
もう一人の自分が宙へ消えていくのを変わらない視線のままで見ている、輪郭のぼやけた赤い風船を見ている(いつだって、見ているだけの)
窓の外には意味も無く僕の影が佇んでいるので(・・・窓を開けるんだ)「おい。」
勢いよく硝子を割ろう。
直線状に傷付けられる音を立てて
鋭い破片が(赤い風船が窓の外へ
逃げていってしまった)―――――何処に―――――・・・・・・僕は何処に
(消える、消える、不安定な空へ、)赤い風船が揺れながら闇の中へ吸い込まれて消えてしまう、何処にいる、何処にいった・・・・誰かが耳元でそう呟いてる、ずっと。
虹色の小鳥が闇の中の広葉樹にとまっていて、平面的な月の夜の向こうへ飛び立つ時、
僕はもう一つの赤い夢が弾けて
きっともう眠ってしまった。
(窓の外から見ている)もう一人の僕は笑い続けていたのだ、ずっと。
何処に何処に何処に何処に、行った・・・・・・・・・