恍惚願い
A道化





手と、手が
触れて
砂埃でかすれ切ったあらゆる地面が
夕刻へ
厳しげに交錯するあらゆる細枝が
夕刻へ
落書きごと枯れているベンチのあらゆる褐色が
夕刻へ
夕刻へ、と
一秒、という恍惚を溢れさせるから
ねえ
手で、手に
触れてくれ
厳しげな輪郭も
シラップ漬けの赤い果実のように容易に崩れ
無数の
一秒、という恍惚が溢れるのをどうぞあなた
どうぞあなた
見せてくれ





2006.11.22.


自由詩 恍惚願い Copyright A道化 2006-11-22 07:57:37
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