冷めた欲情
ロリータ℃。



二人の温度に車の窓が曇っていって
心の在り処もわからなくさせる
長い睫毛に香水のにおい
あたしが吸う煙草の煙
居心地良い筈なのに
どうしてこんなに惑っているのか


あたしのグロスがその唇に纏わりついて
薄闇の中てらてらと光った
扇情的な光景だけれど
あたしはまだ迷っている

あなたはちらちらとこのまぶたの裏で光る景色を
消したくてあたしの鎖骨に噛み付いたのか
あたしはひらひらと脳の中で舞っている残像を
消したくてあなたの耳に噛み付いたのか


夜明けの身軽なさみしさの中で
あたしはまだ迷いながら
その首筋に欲情してる
もう溺れたくはないけれど
あたしはまた恋をするのか


ちらちらとひらひらと
あの日去った彼の背中を
未だ忘れてもいないのに







自由詩 冷めた欲情 Copyright ロリータ℃。 2006-11-21 03:59:14
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