鬼
ごまたれ
鬼だ
「捨てられた」と
呟いた口からは牙が
「苦しい」と
抑えた胸は垂れ あばらが
涙があふれた目は
赤く濁り 血の涙が
「あなたに触れていたい」と
願っていた手は萎れ
鎌を持ち上げる
ああ
呼吸がうまくできない
視界に入るものすべてが
心臓を握りつぶそうとする
間違えて
何かを間違えて
あなたが死んでしまえばいい
目が覚めたらきっと
あなたの首が
血の海に転がっているかもしれない
鬼だ
わたしは
あなたが作り上げた
鬼だ
赤い涙を流し続ける
鬼だ
自由詩
鬼
Copyright
ごまたれ
2006-11-20 23:37:55
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