美しき物
なかがわひろか

きれいな物はなんでも好きよ
雪が積もった時の睫毛や
私の口づけを求めるときの
少し荒めの白い吐息は
まるで水蒸気の妖精の舞

歩いた後にほわっと匂う薫りや
私を抉るときの指の形は
とてもとても美しい

きれいな物はなんでも好きなの
どんな物でも
美しければ
なんでも好きよ

平和を叫ぶ歌や
最良の愛を語る言葉
子を愛すことが当然な親
殺してはいけない生

きれいな物はなんでも好きよ
例えそれがどんな綺麗事でも

きれいな物はなんでも好きよ

(「美しき物」)


自由詩 美しき物 Copyright なかがわひろか 2006-11-17 01:22:33
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女歌