美しき物
なかがわひろか
きれいな物はなんでも好きよ
雪が積もった時の睫毛や
私の口づけを求めるときの
少し荒めの白い吐息は
まるで水蒸気の妖精の舞
歩いた後にほわっと匂う薫りや
私を抉るときの指の形は
とてもとても美しい
きれいな物はなんでも好きなの
どんな物でも
美しければ
なんでも好きよ
平和を叫ぶ歌や
最良の愛を語る言葉
子を愛すことが当然な親
殺してはいけない生
きれいな物はなんでも好きよ
例えそれがどんな綺麗事でも
きれいな物はなんでも好きよ
(「美しき物」)
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女歌