向かいの席
服部 剛

仕事帰りに寄ったファーストフード店 
一人座って夕食代わりのマロンパイを食べながら 
カウンター越しに君の姿を探す 

パイの中から舌先に広がる 
マロンクリームの甘さとうらはらに 
ぱさぱさとパイのころもを落としながら 
僕の向かいの席にはいない 
君を想う 

( 今日は休みかな・・・ 
( 今頃どうしているのかな・・・ 

君は最近少し悩んでいるという 
好きなのかわからない男と夜を共にしているという 

カウンターの向こうで 
せわしげに働いては 
レジ前の客に 
スマイルを浮かべる店員達 

( この手には
( パイを食べ終え 
からになった紙の入れ物

僕は今 
誰よりも見たい 

君のスマイル 





自由詩 向かいの席 Copyright 服部 剛 2006-11-16 21:50:52
notebook Home 戻る