救世主
山崎 風雅

 今
 ここ
 自分
 俺が自由にできることさ

 確かに俺はスーパーSが強いかもしれないな
 こうあらねばならぬ
 こうしなければならぬ
 そんな想いが強いのは確かだよ

 誰からも好かれ
 誰からも喜ばれることなんて無理なんだよな

 俺の脳髄は時に悲鳴を上げる
 データフォルダがいっぱいで
 処理できないように
 友人達のSが俺を苦しめる
 苦しめる

 誰にも邪魔されず
 誰にも迷惑をかけないなんて無理なんだよな

 生きることに執着なんてないけど
 だからって諦めてるわけじゃない

 俺の友達は近所の公園に立ってる大きな楠木だ
 
 樹のようでありたい
 樹のように誰にも迷惑をかけず
 誰からも誤解されず
 夏にも冬にも負けず
 愚痴すらこぼさない
 
 そうだな
 それでも人間に生まれてきたんだよな
 悲劇というものも
 季節が変ると喜劇に変ることを
 お前は教えてくれたよな

 そうだ
 今夜は寒いだろうから
 コンビニでおでんを買って
 お前のところに持っていってやろう

 お気楽な時代さ
 大概のものは簡単に揃い
 手間もかからない

 そんなことより
 妹の子供が生まれたんだ
 かわいい、ふっくらした女の子さ
 
 精一杯おもしろい顔を作ってやると
 ケラケラ笑う
 
 救われるぜ

 

 救われるんだ





自由詩 救世主 Copyright 山崎 風雅 2006-11-16 18:24:51
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